前回の講義では、自分自身を他人と差別化するという話をしました。今回はそれを使いながら、自分のサービスを他社のサービスと差別化するお話しです。
そこで登場してくるのが、USP(ユーエスピー)と呼ばれるものですね。
USP(ユーエスピー)とは、Unique Selling Proposition (ユニーク・セールス・プロポジション)というアルファベットの頭文字を取ったものです。日本語にすると「独自のウリ」という意味になります。
マーケティングの世界でよく使われる言葉で、他の人は持っていない(提供していない)自分だけの特徴やサービスのことです。
USPは独自のウリですから、これを持つことができると、ライバルとの差別化をすることができます。また「お客さんから選んでもらえる」ようにもなります。
じゃあ反対にUSPがない場合はどうか?
当然強いライバルがいればお客さんはみんな取られてしまうでしょうし、他と同じ・・・ということであれば、価格競争に巻き込まれてしまう可能性もあります。
安くても売れない理由
よく「価格を下げたのにお客さんが来てくれません」という相談を受けるのですが、それは単に価格を下げただけでUSPが存在しないため、そのサービスをお客さんが選ぶ理由に乏しいからですね。
いくら相場よりは安いとはいえ、少しでもお金を払う以上は自分に合った良いサービスを受けたいと思うのが普通のお客さんです。
今は、
「安ければいい」
という時代ではありません。大事なのはその人にとっての「価値」です。安くても価値がないと判断されれば購入されないですし、高くてもそれだけの価値があると思えわれれば、申し込んでもらえます。
お客さんに対して、自分が提供できる価値を明確に打ち出すこと。
そのためにUSPが必要なんですね。
USPを見つけるためにするべきこと
そんなUSPをどのようにして見つけていけばよいか?そのために重要なのが「リサーチ(調査)」です。
まず情報収集をするということですね。いきなり「わたしのUSPって何かなぁ?」と頭で考えようとしないってことです。
では何をリサーチすればいいのか?
これは
1.ターゲット
2.ライバル
この2つです。
ここからはそれぞれのリサーチ内容について解説していきます。
ターゲット
USP決定の為にまずリサーチすべきは、自分のサービスのターゲットになる人達です。ターゲットにはどんな人がいて、そしてどんな悩みや要望を抱えているのか?そのあたりからまずはリサーチしていきます。
・ターゲット層
ターゲットに関して、まずリサーチすべきは自分のサービスを必要としてくれそうなターゲットの年齢や性別、また家族関係などです。
ペルソナ設定の段階である程度決まっていると思いますが、そこに少し幅を持たせてみる感じです。
ただしUSP決定の段階では極めて少数派というターゲットまでは意識しなくて構いません。ターゲット層が複数存在してもOKです。
例えば「ダンス教室」であれば
- 小学生~中学生の女の子 と そのご両親
- 高校生のダンス部に所属する女の子 と そのご両親
- 大学で本格的にダンスに取り組む女の子
くらいのイメージですね。ここでターゲット層を3つに分けたのは、おそらくこのターゲットごとに、大きなニーズが異なると考えたからです。
ニーズが異なれば当然提供するサービス内容も異なります。もちろんこの段階ではまだ「想像」の段階ですので、ここから更にリサーチを深めていく過程で、いろいろ代わってくることはあります。
また小学生~中学生と高校生はターゲットとしてそのご両親も含めています。お分かりだと思いますが、この年齢層であれば決裁権を持つのはご両親だからですね。大学生になると自分でアルバイトしてお金を払うというケースが増えて来ますし、親が介入しないということも多いので本人のみをターゲットとしています。
・ターゲット層の悩み・要望
続いて、上記で考えたターゲット層が抱える悩みや要望をまとめて行きます。このときは、頭で考えようとし過ぎないで、なるべく「生の声」を聞くようにするのがいいですね。
その業界に長くいる人ほど「私はわかってるから・・・」と自分の中から答えを引き出そうとしてしまいます。ただそうするとどうしても考えが偏ってしまいがちです。
ですからこのターゲット層の悩みや要望をリサーチする段階では「私はこの業界のことをよくわかっていません」というスタンスでまず取り組まれてみることをオススメします。(と、いってもできない人が多いですが…)
じゃあそのターゲットのことを知らないのに、どうやって悩みや要望を知ったり、また生の声を聞いたりできるのか?ということなんですが、これについては一般の人が悩みを投稿できる掲示板を利用してみるといいですね。
代表的なものには、
Yahoo!知恵袋 https://chiebukuro.yahoo.co.jp/
教えて!goo https://oshiete.goo.ne.jp/
発言小町 http://komachi.yomiuri.co.jp/
お悩み掲示板 https://onayamifree.com/
などがあります。
これらの掲示板でターゲットが気にしそうなキーワードを打ち込んで検索してみると、そのことについてどのような悩みを持っているかがわかります。
今回の例なら、「中学生 ダンス」「高校 ダンス」とか、そういうワードで試しに検索してみるといいでしょう。
また時々専門家?っぽい人が回答をしていることもあって、
「あーなるほどね。」
って勉強になることもありますね。
そんな感じで、ターゲット層の悩みや要望などをリサーチしてみてください。
ライバル
ターゲット層に関するリサーチが完了したら、続いてはライバルについて見ていきます。ライバルのリサーチはライバルのUSPや弱点、またライバルが狙っていないターゲット層はいないか?などが中心になりますね。
・ライバルのUSP(強み)
まずはライバルのUSPについてです。ライバルのホームページやブログ、また場合によっては折込チラシなどを見ながら、そのライバルの強みであるUSPを見つけ出します。
- 自ら強みだと言っているポイント
- 価格設定
- 特徴的なサービス
- メインターゲット
- 実績
- 地理・環境的なもの
- 運営者
など、自分がお客さんになったつもりでくまなく調べてみるといいですね。
・ライバルの弱点
USPについて調べることができたら、続いては弱みはないかを確認します。調べるポイントとしては上記と同じような感じになりますが、ときどき、
「ライバルが強すぎて弱みが見つかりません・・・」
という方がいらっしゃいます。
まず考え方ですが、どんなに強いライバルにも必ず弱みはあります。それは「強い」からこそ生じる弱みです。どんなサービスでも完璧なものは存在しませんし、お客さんのニーズを100%満たせるなんてことはありません。
あるターゲット層にとっては、ここは強み(USP)だけど、別のターゲット層からすると、ここは逆に弱みかも知れないな・・・というようなポイントは必ず存在しますので、徹底的にリサーチしてみてください。
・ライバルが狙っていないターゲット層
ライバルのUSPと弱点が見つかったら、あと一つ、ライバルが狙っていない(狙えていない)ターゲット層を調べておきます。
狙えていなくはないけど、力を入れている感じがしないな、というのでもOKです。そういう感覚はお客さんも持っていますからね。
以上、自分のUSPを見つけるために、まず行う「リサーチ」として、
1.ターゲット層
2.ターゲット層の悩みや要望
3.ライバルのUSP(強み)
4.ライバルの弱点
5.ライバルの狙っていないターゲット層
を挙げました。これらのリサーチ(=前準備)がしっかりできれば、実は自分のUSPを見つける&作ることはそんなに難しくありません。
自分のUSPサービスを作る
ここまでのリサーチ、そして前回の講義でお話しした自分と他人を差別化する話。これらを組み合わせて、
ターゲット層の悩みや要望の中で、ライバルが応えきれていないものは何か?
→自分だったら応えられるものはないか?
ライバルの狙っていないターゲット層はどこか?
→自分ならそのターゲット層に何をしてあげられるか?
こう考えてみることで、USPが見えてきます。
そしてそれを提供できるサービスとして形にすればOKです。
そこで出来上がったものは、他にはない「オンリーワン」のサービスになっているはずです。
似たようなサービスが他にあったってかまいません。そこにあなたなりの色付けがしっかりできていればお客さんからは選んでもらえますので。
今日のまとめ
今は、安ければ売れるという時代ではなく、高くても価値あるものが売れるという時代です。そして価値あるなにかを提供するために必要なのが、独自のウリであるUSPと呼ばれるものです。
そのUSPを見つけるためには、まずリサーチが必要。しっかりリサ―チを行えば自然とUSPも浮かび上がってきますよ。ぜひ、オンリーワンのサービスを作り上げてください。
独自のウリであるUSPを決めるためには、ターゲット、そしてライバルのリサーチが大事!